冷酷御曹司の激情が溢れ、愛の証を宿す~エリート旦那様との甘くとろける政略結婚~
正確に言えば、ひょんなことから私が充さんのお母様に気に入られてしまったのが結婚のきっかけなのだが、その部分を説明するのが面倒で適当に答えてしまった。
坪井くんはしばらくなにかを考え込むように黙っていたけれど、少ししてから「でも」と切り出す。
「親に決められた結婚ってことは、三沢も相手の男もお互い好きになって結婚したんじゃないってことだよな」
パンケーキを口に頬張りながら坪井くんが的を得たことを言うので、私は言葉に詰まってしまう。
確かに、私と充さんは互いに惹かれ合って結婚をしたわけじゃない。
「そんな結婚虚しくないか? 絶対に幸せになんてなれないだろ。そんな男よりも、俺なら三沢のことたっぷり愛してやるのに」
「坪井くん?」
「三沢、俺と付き合わない?」
坪井くんの表情はいつになく真剣で、思わず彼のことをじっと見つめ返してしまう。
「俺さ、マジで三沢のこと好きだったんだよね。可愛いって言ってんのに本気に取ってもらえないし、好きだって伝えてもスルーされるし、ぜんぜん俺に振り向いてくれなかったもんな」
「それは……」