冷酷御曹司の激情が溢れ、愛の証を宿す~エリート旦那様との甘くとろける政略結婚~

 充さんに愛されているのかと聞かれたら答えはノーだ。それでも昨夜、初めて体を重ねたことでお互いの距離が少しは縮まっていないだろうか。

 そう願ってしまう私は、やっぱり充さんと仲良くなりたいんだと思う。

 初夜のときにはっきりと突き放されてしまったし、それ以降の彼の態度も冷たいし、言葉に棘はあるけれど。それでも夫婦なのだから心を通わせたい。妻の務めを果たすだけというのはやっぱり虚しいから。

「三沢、寂しいんじゃないの?」

 私の手を包んでいる坪井くんの手に力が入り、ぎゅっと強く握られる。

「俺でよかったら慰めてやろうか?」
「慰める?」
「旦那には内緒で俺と付き合おうよ」
「えっ、それって……」

 不倫しようってこと? いや、だめでしょそれは。

 握られている手を引こうとするけれど、思っている以上に坪井くんの手の力が強くて離してもらえない。

 どうしよう。とりあえずはっきりと断らないと。そう思って口を開こうとした、そのとき――。
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