あなたと、カラフルな世界へ
私の高校は、家の最寄り駅から電車で20分ほどの所にある。

中学三年生の時、進路に迷っていた私は、制服が可愛いからという理由だけでこの高校に決めた。

入学してから二週間が経った今日、教室に入ると何だか騒がしい感じがした。
「邪魔なんだよ、退けよ」
そうハッキリ聞こえた。罵声を浴びせたのはほかでもない、橘 穂香₍ほのか₎だった。

橘さんは地毛の茶髪を綺麗に巻いていて、制服もオシャレに着崩している。
入学式の日から彼女は、周りから一目置かれるような存在で、全ての女の子の憧れの存在だった。

ただ、好き嫌いがハッキリしていて、地味で自分とは正反対のタイプの石原 芽衣₍めい₎のことをよく思っていないのが
凄く伝わる。

石原さんは何を言われても言い返さないので、余計に橘さんのことを怒らせてしまう。
退けよ、と言われた石原さんは静かに道をあけると、橘さんは仲のいい女の子二人を引き連れて自分の席へと向かう。

少しして担任が来たのでこれ以上騒ぎになることもなく、ホームルームが始まった。

私は、下手に動けば今度は自分がいじめの対象になってしまうかもしれない、という恐怖で見て見ぬふりをするしかほかがなかった。

(もう、あの時みたいな思いは絶対にしたくない。
裏切られると分かっているなら友達なんて作らなければいい。
そう決めたんだから。)

私は高校では必要最低限の会話しかしないし、友達は作らないと入学する前から誓っていた。
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