能ある彼女は敏腕社長に捕獲される
「確か、2週間とか1ヶ月前…いや、2ヶ月前とかに退職届を出せばいいんだよな…?」

後で就業規則を確認してみよう。

ブツブツと呟いていたら、エレベーターが到着した。

エレベーターを降りると、
「門谷紀香さんですね?」

誰かに声をかけられたので視線を向けると、そこにいたのは紺のパンツスーツ姿のキレイな女性だった。

いわゆる、“美魔女”と呼ばれるタイプの女性だ。

「は、はい…そうです…」

私が返事をしたら、
「秘書課室長の浦井と申します」
と、浦井さんはペコリと頭を下げた。

「か、門谷です…初めまして…」

それに倣うように私も頭を下げた。

「この度は営業部から秘書課への異動、おめでとうございます」

「あの、本当に間違いじゃないですよね?

“我が社始まって以来の無能社員”なんて呼ばれてる私が異動なんて、おかしいと思いませんでしたか?」

私は浦井さんに聞いた。
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