能ある彼女は敏腕社長に捕獲される
「無能って、自分で言うかしらね?」

「自己評価が低いのよ、きっと」

パチパチと拍手をしている彼女たちはヒソヒソと言っていた。

聞こえてるぞ、おい。

と言うか、本当のことを言ってるだけだってばよ!

「門谷さん、すぐに社長室へ」

浦井さんに声をかけられて、
「あっ、はい…」

私は秘書課を後にすると、社長室へと足を向かわせた。

おかしい、本当におかしい!

絶対に何かの間違いに決まってる!

まあ、別にいい。

社長に自分がどれだけ無能であるかの説明をして、秘書課への異動は間違いだったと認めてもらおう!

営業部へ戻らせてくださいと説得しよう!

フンと私は鼻息荒く、社長室のドアの前に立つとコンコンとたたいた。

「はい」

中から返事が聞こえたので、
「門谷です、入ります」
と、私は声をかけた。

「どうぞ」

返事が返ってきたその瞬間、私は社長室のドアを開けた。
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