能ある彼女は敏腕社長に捕獲される
「失礼します」

「そこに座って」

私が社長室へきたことが嬉しいと言うように、社長はソファーに座るようにとうながしてきた。

私がソファーに座ったことを確認すると、彼は私の向かい側のソファーに腰を下ろした。

「改めまして、『三柳株式会社』の代表取締役社長の三柳静也(ミヤナギシズヤ)と申します」

社長は自己紹介をした。

ふーん、“三柳静也”って言う名前なんだ。

と言うか、社長にも名前があるんだな。

「あのー、やっぱり異動は間違いなんじゃないかと思うんですよねー」

私は話を切り出した。

「どうしてそんなことを思うんだ?」

そう聞いてきた社長に、
「だって毎月のノルマをギリギリで達成しているような社員ですよ?

周りが残業しているのに対して、1人だけ定時に帰るような社員ですよ?

どう考えても無能でしょうよ」

私はハハハッと笑いながら答えた。
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