能ある彼女は敏腕社長に捕獲される
「その証拠を俺が人事部に渡したら、お前はどうなると思う?

子会社への左遷、最悪の場合はクビになるだろうな」

そう言っている社長のその姿はマンガかアニメに出てくる悪の組織の親玉みたいだ。

「こ、こんなのあんまり過ぎませんか?」

私が言い返したら、
「社員の行動を全て把握するのは社長としての役目だ」
と、社長はさらに言い返した。

クソ、どう考えても私の負けだ。

ここで私が負けを認めない限り、何より社長がこの証拠を握っている限り、秘書課への異動はなかったと言う話にならないだろう。

「ーーわかりました」
と、私は言った。

「理解してくれるのか?」

社長が聞いてきたので、
「ええ、理解しました」
と、私は首を縦に振ってうなずいた。
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