能ある彼女は敏腕社長に捕獲される

んな訳ねーだろ、このヤローが！

落武者よろしくのお前のそのハゲ具合が怖過ぎて何も言えないって言う方が大正解だわ！

私はクルリと部長の方に躰を向けると、
「部長、何かの間違いですよね？

私が秘書課へ異動なんて違うに決まってますよね？

誰かと間違えてますよね？」
と、問いかけた。

「いや、確かに君だぞ」

「いやいや、そんな訳ないじゃないですか！

誰かと間違えてるに決まってますって！

例えば経理の門島さんとか開発の門野さんとかと間違えているんじゃないですか？

“門”じゃなかったら“か”のつく名字の人と間違えてるって言う可能性もありますよ！？」

間違いに決まってるでしょ！

だって無能社員の私が秘書課へ異動なんて間違いに決まってるじゃない！

本当に誰と間違えてるんだ、おい！