能ある彼女は敏腕社長に捕獲される
…何で私はこんなところにいるんだ。

目の前のケーキスタンドを見つめながら、私はそんなことを思った。

下の皿はサンドイッチ、真ん中の皿はスコーン、上の皿はケーキやフルーツのスイーツが乗っていた。

おしゃれだな、おい。

いわゆる“映える”とか言うヤツだと思いながら、私は向かい側の椅子に腰を下ろしている男の顔に視線を向けた。

いつも通り、7時に私をたたき起こした男は優雅にティーカップを口につけていた。

ただただ紅茶を飲んでいるだけなのに絵面がいいな、おい。

むしろ、こっちの方が映えるだろうな。

私はクリーム色のシンプルなデザインのワンピースに視線を落とした。

ボブの髪にはゆるくだけどウェーブがかかっているうえに、メイクも使用人の手によって上品に施されていた。

まるでどこかのお嬢様…と言うのは我ながら言い過ぎだけど、普段の自分とはあきらかに違っていた。
< 54 / 145 >

この作品をシェア

pagetop