能ある彼女は敏腕社長に捕獲される
スイーツの調達はコンビニかスーパーマーケットで、洋菓子よりも和菓子、紅茶よりも緑茶かほうじ茶の私は何をすればいいのかわからなくてパンプスの先を見つめることしかできなかった。

洋菓子は自分の誕生日か兄と一緒に食事に行った先の店のデザートでしか食べる機会がない。

周りに視線を向けると、同じように“ヌン活”を楽しんでいる女性グループがいた。

「かわいいー」

「美味しそうー」

キャッキャッキャッキャッと言いながらスマートフォンで写真を撮ったり、美味しそうにサンドイッチを食べているその姿はとても楽しそうだ。

「食べないのか?」

社長に声をかけられて、
「えっ、ああ…」

私はどう返事をすればいいのかわからなかった。

何を食べればいいんだと言う話である。
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