能ある彼女は敏腕社長に捕獲される
「家族旅行で海外ってうらやましいです」

なんて家族旅行は愚か、家族とどこかへ行くなんて言うこと自体もなかったんだけど。

「身内が海外にいるからな」

そう言った社長に私は首を縦に振ってうなずくだけにすると、カップに口をつけた。

「門谷の家族は？」

「私ですか？」

門谷は私だから当然のことだけど、家族のことを聞かれるとは思わなかった。

「両親と兄がいます」

私はそれだけ答えると、口を閉じた。

「兄がいるんだ」

「いますね」

それがどうしたと言う感じだ。

正直なことを言うと、家族…と言うよりも、両親の話はしたくない。

次に家族に関する質問を出されたらトイレに行って逃げようかと思っていたら、
「あっ、三柳さんじゃないですか！」
と、社長に声をかけてくる人物が現れた。
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