能ある彼女は敏腕社長に捕獲される
「私も何度か確認したけど、確かに君だぞ。

営業部の門谷紀香は君じゃないか」

「た、確かにそうですけど…」

仮にも私が秘書課へ異動になった理由が全然わからないんですけど!

何が何でどうしてこうなったのかわからなくて首を傾げていたら、
「あれ、社長じゃないか?」

「ホントだ、何でここにきたんだろう?」
と、周りがザワザワとし始めた。

えっ、社長?

私はそちらの方へと視線を向けた。

そこにいたのは、俳優なのかと見間違うくらいの端正な顔をしたスーツ姿の背の高い男だった。

清潔感があるメンズカットの黒髪にスラリとしたその体型は、まさにモデルだ。

へえ、あの人が社長なのか。

そんなことを思っていたら、その人と私の目があった。
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