能ある彼女は敏腕社長に捕獲される
「ああ、東郷のお嬢さん」

社長は言った。

えっ、トウゴウ?

その人物に視線を向けると、長い髪を左に寄せたベージュ色のワンピースを身に着けているキレイな女性がいた。

いかにもお嬢様だな…と言うか、この高級ホテルにきている時点で金持ちなのは確かだな。

ワンピースはもちろんのこと、ネックレスもブレスレットも手に持っている小さなバックもどこかのブランドものなんだろうな。

「入った瞬間に見知った顔の人がいたのでもしかして…と思いまして」

「そうでしたか、それはそれは」

「いつも父がお世話になっております」

東郷さんはペコリと社長に向かってお辞儀をした。

「いえ、こちらこそ」
と、社長も座った状態ではあるがお辞儀をした。

取引先の人なのかと、私はそんなことを思った。
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