能ある彼女は敏腕社長に捕獲される
「取引先のお嬢さんだ。

父親が『トウゴウ』の社長なんだ」

結構な大手である。

「医療機器の製造に販売、医薬品の製造を行っている会社ですよね?」

私がそう言ったら、
「よく知ってるな、さすがだ」
と、社長は言い返した。

知っているも何も、営業部時代に担当していたことがあったと言う話である。

「彼女の父親にはいつも世話になっているんだ」

「そうなんですね」

返事の仕方が嫌味になってしまった。

「悪いな、休みの日に仕事の話なんかして」

私が嫌味な物言いになってしまったのは仕事の話をされたからだと社長は勘違いをしたみたいだ。

そんな理由で嫌味な言い方になった訳じゃない。

そもそも、そんなことくらいで機嫌が悪くなるタイプではない。
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