能ある彼女は敏腕社長に捕獲される
年齢は30代後半辺りと言うところか?

って言うか…社長、若くねーか?

私の存在に気づいたその社長はカツカツと革靴を鳴らしながら、私の前にやってきた。

「門谷紀香さんは君だね?」

そう聞いてきた社長に、
「そ、そうですけど…あの、誰かと間違えていませんか?

私が秘書課へ異動になった理由が全くわからないんですけど…」
と、私は答えた。

「間違いでしたら間違いですと、はっきりと言ってください。

私、そんなことで社長を恨むような人間じゃないですから」

と言うか、間違いであってくれ。

こんな無能社員は知らんと言ってくれ。

心の中で目の前の社長に何度も念を送った。

「間違いではない、君が秘書課へこないから何かあったんじゃないかと思ってここへきたんだ」

社長が言った。
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