能ある彼女は敏腕社長に捕獲される
無能秘書、解決のために奔走する
…これは一体、どう言う状況なんだ?

「何なんだ、これは…?」

タブレットを片手に震えている社長のその横顔を私は見つめることしかできなかった。

横顔もいい男だなと、そんなのん気なことを呟いている場合ではない。

いつもの時間に起きて、用意してくれたスーツに着替えて、元シェフが用意してくれた朝ご飯を食べて、メイクを施してもらって、後は出社するだけ…のはずだった。

このままいつもの朝を迎えるはずだったのに、ソファーに座ってタブレットを見ていた社長の様子がおかしいことに気づいた私は彼に声をかけようとした。

手元のタブレットを見たその瞬間に、私は理解した。

『「三柳株式会社」代表取締役社長・三柳静也、「トウゴウ」の社長令嬢との婚約を発表!』

事態は、思わぬ方向へと進んでしまった。
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