能ある彼女は敏腕社長に捕獲される
会社に出社したら、案の定でその話題で持ち切りだった。

あちこちから祝福の言葉をかけられて社長は困っていたし、私もその対応に追われるばかりだった。

「社長、これはどう考えてもあちらの仕業ですよね?

断られた腹いせに『トウゴウ』の社長が勝手に出したとしか思えませんよね?」

一段落がついて2人きりになった社長室で、私は社長に訪ねた。

「やっぱり、君もそう思うか?」

そう聞いてきたところを見ると、社長も同じことを思っていたみたいだ。

「そうとしか思えないです」

そう返事をした後でお互いの顔を見あわせると、息を吐いた。

「…これ、どう考えても私のせいですよね?」

私がそう言えば、
「君のせいじゃないと言えば何度理解するんだ?

以前から断ろうと思っていた、それが今になったと言う話だ」
と、社長は言い返した。
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