能ある彼女は敏腕社長に捕獲される
彼女と別れて会社へ戻ると、
「ああ、門谷さん」

最上階で止まったエレベーターが開いたのと同時に、浦井さんが待っていたと言うように出てきた。

エレベーターの前で待機していたのだろうか？

「どうかしましたか？」

私が聞いたら、
「今、『トウゴウ』の社長さんが社長室にきているんです」
と、浦井さんが答えた。

「えっ、『トウゴウ』の社長さんが？」

私は思わず聞き返した。

恐らく、婚約発表のことで訪ねてきたとは思うが。

そう思っていたら、社長室のドアが開いて『トウゴウ』の社長さんがそこから出てきた。

彼は私たちを一瞥すると、エレベーターに乗ったのだった。

感じ悪い…。

心の中で中指を立てると、
「社長の様子を見てきてもいいですか？」
と、私は浦井さんに声をかけた。

「ええ、どうぞ」

浦井さんから返事をもらったのを確認すると、私は社長室へと足を向かわせた。
< 94 / 145 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop