能ある彼女は敏腕社長に捕獲される
社長室に足を踏み入れると、社長は疲労困憊している様子だった。

「社長、大丈夫ですか?」

私が声をかけたら、
「大丈夫じゃないな…」

社長はそう呟いて、やれやれと息を吐いた。

この様子だと相当なまでに揉めたのかも知れない。

「当然のことですけど、取り消してくれませんでしたよね?」

「ああ、このままだと話が進んでしまう可能性があるな。

どこかで手を打たなければ…」

考え事をしている社長に、
「あの」

私は声をかけた。

「何だ?」

「今日、ちょっと兄と会う用事ができてしまったので早めに退社してもいいですか?

遅くても9時までには家に帰りますので」

そう聞いた私に、
「構わないが…」
と、社長は答えた。
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