秘書はあらがえない気持ちを抱いて 【おまけ①】

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「進一郎、急ぎの書類を郵便局に出してくる。定時には戻るからサボるなよ。」

「俺も行く。気分転換したい。」

「何言ってるんだ。今進一郎の手元にある書類も急ぎの奴だろ。」

「えー、いいじゃん、少しくらい。」

「ダメだ。俺が戻るまでには完成させとけよ。」






郵便局の窓口は、明日が休日のせいか思いの外混んでいた。

書留じゃないとダメだしな…
定時には戻れそうにないが、仕方がない。

俺は定時で帰るのを諦め、進一郎に連絡を入れて順番を待った。







今日も疲れたな…

会社に帰る頃には日も落ちて、すれ違う車のライトが眩しく感じた。

特に眩しく感じた1台の車が、直ぐ横で停車してドアが開いたと思った時には遅かった。

俺は口を布で塞がれ、薬を嗅がされた。

直ぐに力が入らなくなった体は、抵抗することなくその車に引きずりこまれ、意識が遠退いた俺の記憶はそこで途切れた。



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