秘書はあらがえない気持ちを抱いて 【おまけ①】
「ん………」

目を覚ますと、そこは知らない場所だった。

目の前には広いホール、その端には積み重なったテーブルとイスがあってどこかの飲食店のようだ。

薬を嗅がされたせいか、まだ頭がはっきりしない。横たわる体も重い。

足は縛られていないが、両手は後ろできつく拘束されていて全く動かせない。

「ボス、目覚ましましたよ。」

声のした方を向けば、アーチを描くバーカウンターに数人の男達が座っていた。

その中の一人がこちらに歩いてくる。

この男…

「初めまして、桜井瑛二。気分はどうだ?」

「最悪ですね。」

「ハハハッ、そりゃ良かった。」

「それで、俺に何の用ですか。」

「用があるのは進一郎の方だ。」



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