秘書はあらがえない気持ちを抱いて 【おまけ①】
「進一郎様。」

ビルを出たところに1台の車が止まっていて、その横には見知った者が立っていた。

「四郎、どうしてここに。」

「進一郎様に呼ばれたんだ。」

「そんな格好でタクシーに乗れないだろ。」

だが、今四郎は三雪様の従者。側を離れてはマズいのでは…

「瑛兄、気にしなくていいぞ。この報酬は三雪様の従者期間、1年延長だからな。十分過ぎる報酬を頂いている。」

ああ、だからこんなに四郎は嬉しそうなのか。



***************



四郎の車が去り、二人で屋敷に入ると安心したのか俺は崩れるように倒れてしまった。

「瑛二!?」

「大丈夫だ。安心したら力が抜けただけだ。ちょっと休めば…進一郎!?」

進一郎は俺の膝裏に腕を通し横抱きに抱え上げた。

「大人しくしとけ。」

「そういうわけには/////」

「今日くらい、ベッド以外で甘えても良いだろ。」

「そう言うこと言うなよ/////」

フフッと笑った進一郎の顔に影が射した。

「…今回のことは俺の責任だ。すまなかった。」

「進一郎…」

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