秘書はあらがえない気持ちを抱いて 【おまけ①】
「どうぞ。」

俺に帽子を差し出したそいつは、にこりと笑った。

その笑顔に、心臓が大きく跳ねる。

な、なんだ、これは…

自分の体に起きた説明出来ない反応に戸惑うと共に、輝く笑顔とはこういう笑顔を言うのだろうと思った。

「あ、ありがとう…」

帽子を受け取ると、その子は直ぐに行ってしまった。

「あの子は…」

とても、印象的な子だった…

短いやり取りだったのに、あの笑顔が忘れられない…

胸に手を当てると、早くなった鼓動が掌を殴ってくる。

どうしたんだ、俺は…


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