秘書はあらがえない気持ちを抱いて 【おまけ①】
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あの子に会って何かお礼がしたい。
ああー、なんで直ぐ言わなかったんだ、俺。
明日公園に行ったら、あの子に会えるだろうか?
会えなかったとしても、どうにかして探し出したい。
外に出ていたことがバレてしまったとしても、些細なことだ。
ああー、あの子の名前はなんというんだろう。
「進一郎様?」
「ん?なんだ?」
ティーカップをソーサーに戻し隣を見れば、佐月が心配そうにこちらを見ていた。
「大丈夫ですか?お疲れでしたら、ご挨拶は日を改めさせて頂きますが。」
「ああ、大丈夫だ。少し考え事をしていただけだ。もう来ているのだろう?」
「はい。呼んできてもよろしいでしょうか?」
「ああ。」
廊下に待たせていたらしく、テーブルから大分離れている扉を佐月が開けると正装をした男の子が部屋の中に入ってきた。
ここからでは顔ははっきり見えない。