秘書はあらがえない気持ちを抱いて 【おまけ①】
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朝、目を覚ますと、横に瑛二の姿はなかった。
誰かに見られる前に部屋に戻ったのだろうが…
寂しい気持ちの反面、苛立たしくもあった。
どうしたらあいつは俺の側にいてくれるんだ…
その日も、甲斐甲斐しく世話されることなく、必要な物は補充され部屋は整えられ、また何不自由なく過ごせた。
それが気にくわない…
ちょっと心配させれば、側にいるようになるか?
それが良い考え、寧ろ悪い考えなのは分かっているが、ダメ元でやってみることにした。
俺は朝食の後、屋敷の者の目を盗み秘密の穴を通って公園へ行き、レンガ作りの3階建ての物見台に向かった。
その日、入口にはロープが張られ【立ち入り禁止】の看板がぶら下がっていた。
丁度良い。ここなら見つからないだろう。
ロープを潜り上まで登ると腰を下ろし目を閉じた。
昼御飯に戻れば良いか。