秘書はあらがえない気持ちを抱いて 【おまけ①】

***************

朝、目を覚ますと、横に瑛二の姿はなかった。

誰かに見られる前に部屋に戻ったのだろうが…

寂しい気持ちの反面、苛立たしくもあった。



どうしたらあいつは俺の側にいてくれるんだ…

その日も、甲斐甲斐しく世話されることなく、必要な物は補充され部屋は整えられ、また何不自由なく過ごせた。

それが気にくわない…

ちょっと心配させれば、側にいるようになるか?

それが良い考え、寧ろ悪い考えなのは分かっているが、ダメ元でやってみることにした。





俺は朝食の後、屋敷の者の目を盗み秘密の穴を通って公園へ行き、レンガ作りの3階建ての物見台に向かった。

その日、入口にはロープが張られ【立ち入り禁止】の看板がぶら下がっていた。

丁度良い。ここなら見つからないだろう。

ロープを潜り上まで登ると腰を下ろし目を閉じた。

昼御飯に戻れば良いか。




< 81 / 85 >

この作品をシェア

pagetop