秘書はあらがえない気持ちを抱いて 【おまけ①】
「ん……」

「…様!進一郎様!」

なんだ?誰か…呼んでる?

それに、体が揺れて…

「う…ん………?」

目を開けると、俺の肩を揺すり必死に俺の名を呼ぶ瑛二の顔が間近に会った。

「瑛二?」

「進一郎様!バカですか!」

「ん?」

「こんなに心配掛けて!バカにも程がありますよ!」


瑛二が、怒ってる…

あの冷静沈着な瑛二も怒ったりするのか…


ふと、瑛二の肩越しに見える空がオレンジ色に染まっていることに気付いた。

「今、何時だ?」

「もう17時過ぎてますよ!」

ああ、寝過ぎたな…

「屋敷中の人達総出で探したんですよ!」

ヤバいな…

「どれだけ皆に心配掛けたと思ってるんですか!」

「…瑛二も、心配したか?」

「心配したに決まってるじゃないですか!」


そうか…

心配したのか…

そんなに怒る程…


申し訳ない気持ちもあったが、胸に嬉しい気持ちがじんわり広がっていく。

「そうか…」

「そうかじゃないですよ!悪いことをしたら言うことがあるでしょ!」

「ああ…すまない…」

すまないと言いつつも、ハハハッと笑ってしまうとまた瑛二に怒られた。


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