ダブルブルー
まだ、どきどきしている。


閉めたドアに、背中をつけてずるずると靴が転がっている玄関先に座り込む。


てのひらに握られているスマホには、久保田さんの連絡先が入っている。


こんなこと、って。


こんなことが、私の人生に起こるなんて。


胸に手を当てて、深呼吸をする。


そのタイミングで、ピコンと鳴ったスマホ。


「今日は、突然だったのに付き合ってくれて、ありがとう。来週の月曜日は空いていますか?予定が合えばまた、ごはん行きませんか?」


そんな文面が、即座に脳内を駆け巡る。


月曜日?


ごはん?


私、と…?


脳内を巡った自分自身への問いかけは、


「…月曜も、火曜も水曜も木曜も金曜も土曜も日曜もまるまる空いてます!」


思ったことは、脳みそを経由して脊椎を降りてそのまま指先へ伝達されて。


気が付いた時には既に、送信ボタンを押している。


そうしてそんな私のメッセージは、瞬時に既読マークがつく。


身体中をびりびりと通ってゆく電流に戸惑う。










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