ダブルブルー
街灯がぽつんぽつんと点いているちいさな公園は、まるで世界から取り残されたみたいに私と彼を包む。


「ほら、傷口洗うよ?」


蛇口の下に座り込んだ彼が、私を見上げている。


「いえいえ。自分でやります」


「いいから。膝突き出して?」


そんな押し問答の末、彼が傷口を洗って消毒までしてくれた私の両膝には、綺麗に貼られた絆創膏が鎮座している。


両膝を擦りむくなんて、どれくらいぶりだろう?


なんだか、可笑しくなって少し、笑った。


「あ、笑う元気出てきた?良かった」


私と彼が座るベンチの間には、彼がコンビニで買ってきてくれた消毒液や絆創膏が入ったビニール袋が置かれている。


「はい」


その袋から、コーヒーと紅茶の缶を取り出して、


「どっちにする?」


私に選ばせてくれた。


少し、頭を下げて紅茶の缶を受け取った。






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