ダブルブルー
聞きたいことや、言いたいことがたくさんあるけれど、うまく言葉にならなそうで、黙ってしまう。


「ほら、飲まないの?」


隣で、プルタブを開ける音がする。


相変わらず、目深に被られた帽子。


優しい声が、ふわふわと私を包む。


とりあえず、私もプルタブを開けて紅茶に口をつけた。


冷たくて、少し甘い紅茶は気持ちを落ち着かせてくれる。


「さっき、オレが後ろから呼び掛けたとき、鳩が豆鉄砲を食ったような顔してたね」


ふふふ。


含むような笑い声は、さっきの女の子たちとは似ても似つかない、優しい色をしている。


「あっ!そうだった!どうして私の名前を?」


その声に引き込まれそうになりながら、思い出した疑問。





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