傷だらけの黒猫総長
「辛いと思っても、いいんだよ。苦しくてもいいの。それが、黒羽くんの“ありのままの心”だから」
「っ……!」
キーンコーンカーンコーン
ビクッと震えた手を、優しく包み込んだ。
黒羽くんは揺らいだ、感情的な瞳でわたしを見つめる。
「……授業、始まる」
「そうだね。……サボっちゃおっか。2人で」
「……」
黒羽くんはコクリと頷いて、わたしの手を握り返した。
****
キーンコーンカーンコーン
「あ……授業、終わったみたいだね」
剥き出しの心を見せてくれた黒羽くんに寄り添って、屋上でゆっくり過ごしていると、チャイムが聞こえてくる。
もうそんなに話し込んでいたんだなぁ、と思うと、不思議な気分。
「ふふ、丸々授業をサボったのは、初めてかも」