傷だらけの黒猫総長




「……ごめん」


「謝らないで。わたしが黒羽くんと一緒にいたかったの。……わたし達、共犯だよ?」




ちょっぴり悪戯に笑って顔を覗き込むと、黒羽くんは柔らかく目を細めてコクンと頷いた。

たったの50分だけど、わたし達の心の距離はグッと縮まった気がする。




「それじゃあ、そろそろ中に戻ろうか」


「……、あぁ」




立ち上がる為に、あれからずっと繋いでいた手を離すと、少し名残惜しく感じる。

チラッと隣を見ると、黒羽くんも離れた手を見ていて、同じ気持ちなんだなって、笑みが浮かんだ。


それと同時に、ちょっとドキドキもして。

何でだろうと思いながら、立ち上がる。




「そういえば、どうして屋上の鍵を持ってたの?」


「……借りた」



< 102 / 283 >

この作品をシェア

pagetop