傷だらけの黒猫総長
お話をしながら校舎の中に入ると、黒羽くんは屋上の鍵を閉め直して、目を逸らす。
そのまま黒羽くんのポケットに入った鍵の出処については、追求しない方がいいみたいだ。
「ふふ、わたしも一応生徒会の一員だから、次はわたしに見られないように気をつけてね?」
「……あぁ」
「――苑香さん?」
一緒に階段を降りて4階に着くと、聞き覚えのある声がして顔を動かす。
教室から出てきた人がまばらにいる廊下には、目を丸くした逢見くんが立っていた。
「あ、逢見くん」
「……移動教室だったの?」
「え? あ、えっと……」
答えられなくて目を逸らすと、ボソッと核心をついた言葉が聞こえてくる。
「まさか、サボり……?」
「うっ……あ、あはは……実は、そうなんだ……」