傷だらけの黒猫総長


何となく、不真面目なところを見られたくない相手に、ピンポイントで見つかってしまった。


黒羽くんからの視線も感じて、「あ」と紹介しようとすると、逢見くんは据わった目で黒羽くんを見る。




「君が付き合わせたの?」


「……」


「え、あ、違うの! 大事なお話の途中だったから、わたしがサボろうって言ったんだ」


「……そう、なんだ」




あらぬ疑いをかけられてすぐに弁解すると、逢見くんはキョトンとして、申し訳なさそうな目を黒羽くんに向ける。




「疑ってごめん。気分を悪くしたよね」


「……いや」


「ごめんね、本当に。逢見くんはいい人だから、これで嫌わないであげて」


「……」




黒羽くんはわたしを見てコクンと頷く。

それにホッとすると、逢見くんがにこやかに微笑んで、黒羽くんに自己紹介をした。

< 104 / 283 >

この作品をシェア

pagetop