傷だらけの黒猫総長
ノリノリな若菜ちゃん達(?)とは対照的に、ボソッと呟いた黒羽くんの顔を覗き込むと、いつもより感情が読みやすい視線が返ってくる。
「いや……楽しみ方が、分からない」
「このメンツで、んなこと気にする必要ねぇよ。ほら、2人共のんびりしてはぐれんなよ」
「わっ」
ぐしゃぐしゃーっと、黒羽くんと一緒に頭を撫でられて、詠二お兄ちゃんに背中を押される。
詠二お兄ちゃんのこの温かい感じが好きだなぁと思いながら、わたしは黒羽くんと顔を見合わせてこっそり笑った。
「そのちゃん、コウ〜、早く早く!」
「うん!」
「……あぁ」
「よぉ伊吹、案内頼むぜ」
「任せろ、“なー”を退屈させはしない」
約1名は方向性が特殊だけど、そんなこんなで、わたし達は遊園地に向かうことになった。