傷だらけの黒猫総長
「きゃー♪ た〜のし〜い♪ そのちゃんそのちゃ〜ん!」
「わっ、若菜ちゃん、手を離したら危ないよ! こっち見なくていいから!」
「遠心力か……?」
「その通り、軸の回転でブランコは自動的に傾斜し上昇する」
「小難しい話してねぇで、感覚を楽しめよー? お前ら」
地上から離れて宙を回るブランコの上では、自由気ままな会話が繰り広げられる。
若菜ちゃんは両手を広げているし、黒羽くんと伊吹さんは物理学の計算を始めるし、詠二お兄ちゃんはナンパをし出すし。
回転ブランコって、こんなに多様性のあるアトラクションだったっけ? と思いながら、わたしは新鮮な体験に笑ってしまった。
「うーん、ちょうどいい慣らしになったな。じゃ、次は勢いに乗って本命一発目、行っとくか?」
「行く行くー♪」