傷だらけの黒猫総長
ちょっとでいいって分かってるんだけど、いざグネグネした道に差し掛かると、焦って曲がり過ぎちゃって。
それを戻す為に、また反対に曲がり過ぎるという無限ループ……。
軽くパニックになって、右に左にハンドルを限界まで回していると、左手に黒羽くんの右手が重なった。
「ゆっくり戻して。大丈夫だ、道の曲がり具合でどれだけハンドルを回すか、覚えればいい」
「わ、わ、うんっ!」
2人ハンドルなのだけど、黒羽くんがわたしの方も補助してくれて、なんとか運転が落ち着いていく。
黒羽くんは初めてなのに、申し訳ない……。
「まずは理論的に考えよう。時計に置き換えて、基本の位置は3時と9時、最大が12時と6時で、間は2段階――――」
黒羽くんの落ち着いた声で、勉強を教えてもらう時のように説明されると、気持ちも落ち着いてくる。