傷だらけの黒猫総長
そのまま時計になぞらえて2時、11時、と意識しながらハンドルを動かすと、安定した運転ができた。
黒羽くんの手が離れてからも、頭で考えながらだとすぐパニックにならず……。
「く、黒羽くん! 運転できてる! わたし運転できてるよ!」
「あぁ」
「そのちゃん凄〜い! ブラボー♪ それじゃあ、“なー”達も競走しよ♪」
「え? 競走?」
やっとまともな運転ができるようになったところで、若菜ちゃんが次の段階を提示してくる。
思わず隣のレーンを見ると、若菜ちゃんは手を振って前を指さした。
「ほら、お兄ちゃん達もレースしてるでしょ? いつもよりスピードは遅くても、やっぱりその道にいたら最高速出したくなるよね♪」
「レース? ……あっ、本当だ! いつの間にあんな遠くに」