傷だらけの黒猫総長
「はは〜ん? 苑香、いい方法を教えてやる。お化け屋敷はな、手を繋いでると魔除けになって、無事にゴールできるんだ」
「ほ、本当ですか……!?」
「ほんとほんと。なぁ? 若菜」
詠二お兄ちゃんが笑顔でお話を振ると、若菜ちゃんはニッコリ笑って、伊吹さんと手を繋いだ。
「うん♪ 手を繋げば安心安全、お化け屋敷もただのアトラクション♪」
「黒羽くん、いいかな!?」
後ろから黒羽くんの手をギュッと掴んだ後、かき集めた理性で一応確認する。
断らないで断らないで、と念を込めて見つめると、黒羽くんは柔らかく目を細めながらわたしの手を離した。
「こっちじゃないと転ぶ」
一瞬絶望したけど、黒羽くんは歩きやすいように手を繋ぎ直してくれて、わたしを安心させるように、ギュッと握り返してくれた。