傷だらけの黒猫総長
それに心底ホッとして、絶対に離さないという強い意志で手を繋ぐ。
「詠二お兄ちゃんも、こっちの手、繋いでくれませんか……?」
「ハハ、応えてやりたいとこだけど、魔除けは片手じゃないと意味がないんだ。それに俺は、スリルを楽しみたいお一人様でな」
「うぅ……そうですか……」
ヒラヒラと手を振られて、伸ばした左手を黒羽くんの袖に留める。
そうして、お化け屋敷に入る順番は無慈悲に回ってきた。
「ここから先はこの腕輪を着けてお進み下さい。人間の匂いを消してくれるアイテムなので、決して外してはいけませんよ……?」
「はーい♪」
「は、はいっ……!」
受付で貰った腕輪を着けて、黒羽くんと一番最後に入ると、若菜ちゃん達の楽しそうな話し声が聞こえてくる。