傷だらけの黒猫総長
着古されているのか、少しくたびれたピンク色の服を木箱に仕舞い直すと、横の写真がふわりと飛ばされて落ちてしまった。
ちょうど裏返った写真を拾い上げると、お母さんの字でどこかの住所が書かれていることに気づく。
「“思い出の倉庫”……?」
添えられた言葉を読んで、再び写真の表面を見る。
集合写真の背景はチラッとしか見えないけど、倉庫……に、見えなくもない。
「……」
行ってみたい、と思った。
お母さんの思い出の場所が、どんなところなのか……“知りたい”。
「……明日、時間作れるかな」
わたしは呟いて、しばらく他のことを考えながら遺品整理を進めた。