傷だらけの黒猫総長
「これは、確実に“あった”な」
熱くなったほっぺたを押さえつつお化け屋敷を出ると、出口で待っていたみんなが、好奇の目でわたし達を見る。
それに図星をつかれたような気持ちになって、わたしは更に赤面しながら、勢いで否定した。
「いや、あの、違うんです! あんまりにも怖かったから、つい、しがみついちゃっただけでっ」
「え〜、そうなんだぁ〜?」
「“つい”抱き合ったりしちゃったのか? なかなか頼りがいがあるだろ〜? うちの皇輝は」
「……あんまりからかうな」
「ふむ、火に油を注いだな」
「きゃ〜、コウがそのちゃんを庇った♪」
それからと言うもの、わたしと黒羽くんは帰るまでみんなにからかわれて、楽しかった遊園地での1日は気恥しさと共に終わった。
お化け屋敷を出てからしばらく、黒羽くんと手を繋ぎっ放しだったのは、本当に恥ずかしかったな……。