傷だらけの黒猫総長
「……」
「ぁ、……」
足音が響く階段を静かに上がって踊り場に到着すると、黒羽くんが隅の方で眠っているのを見つける。
座り込んだ体勢のまま、壁に寄りかかって寝ているから、あまり疲れは取れなさそうだけど……。
「……よく寝てる」
小声で呟いて、わたしは黒羽くんの珍しい姿を前に、ふふ、と笑った。
若菜ちゃんはそろそろ起きる頃って言ってたけど、まだお休み中みたいだし、どうしようかな?
「……」
「……黒羽くん?」
とりあえず、普通の声量で話しかけて起きるか試してみる。
結果、返ってきたのは静かな呼吸の音だけだったので、近くに腰を下ろしてしばらく待ってみることにした。