傷だらけの黒猫総長
なんだか、今までで一番猫っぽい様子。
ちょっと微笑ましい……はずのに、ドキドキしてるわたしもいる。
「……えと、黒羽くん、ぐっすり眠れた? 昨日の夜は、集会? があったんだよね……あんまり眠いなら、無理しなくても――」
「――……初代のこと、聞きたいか?」
「へ?」
突然出てきた単語の意味を理解するのに、少し時間がかかった。
気持ち良さそうに目を瞑っていた黒羽くんは、わたしの顔色を窺うように、おずおずと視線を合わせて。
心変わりすることがあったのかな、と思いながら、わたしは改めて考えてみた。
「……お母さんのこと、みんなのこと、知りたい気持ちはあるよ。でも、黒羽くんが知らない方がいいと思うなら、それを信じる」
微笑んで答えると、黒羽くんは思い悩むように視線を落として、ぽつりと言う。