傷だらけの黒猫総長
「うん。でもね、何年経っても、お父さんに会いたいと思う時、話したいと思う時があるの。お母さんもそう。……きっと、これからも」
この寂しさは、誰にも埋められないだろうし、きっと、誰に埋めてもらってもいけない。
……最後のは、わたしの我儘だけど。
「……」
ぎゅっ
「わっ、く、黒羽くん!?」
感傷に浸っていると、横からぎゅっと抱き締められて、慌てふためいた。
黒羽くんはそんなわたしを見て、すぐに腕を緩めてシュンとする。
「ごめん」
「え、あ、ううん、びっくりしただけで、嫌なわけじゃ……!」
「……いいのか?」
それじゃあ、と言うようにまたぎゅっと抱き締められて、合ってるんだけど合ってない! と赤面した。
黒羽くんって実は、スキンシップの許容範囲が広い人なのかな……!?
「――飛翔謳歌のこと、教える」