傷だらけの黒猫総長
相変わらず、ちょっとしたことによく気づいてくれるなぁ。
「ありがとう。それじゃあお言葉に甘えて」
「ねぇねぇ、市松ちゃんってどうして彼氏を苗字呼びしてるの?」
「へ?」
「彼氏……?」
先輩に話しかけられて、逢見くんと2人でキョトンとした。
逢見くんからは、“彼氏いるの?”と尋ねるように視線を向けられて、ふるふると首を横に振る。
「あれ? 2人、付き合ってるんでしょ?」
「「え!?」」
「いえっ、そんな! 違います! 僕達そういう関係じゃ!」
「そ、そうです、付き合ってませんよ?」
顔を真っ赤にした逢見くんと訂正すると、先輩達は、あ〜、と何かを察したような顔になって視線を交わした。
「ごめんごめん、よく一緒にいるから勘違いしちゃった」
「それに名前で呼んでるし、ね?」