傷だらけの黒猫総長
先輩に言われて考えてみると、自分でも思い当たる節が結構あって、逢見くんに笑いかけた。
真っ赤っかな逢見くんは、「そっ、そ、そうかな……っ!?」と動揺を残したまま返事をしてくれる。
「へぇ、それじゃあこの機会に、市松さんも名前呼びに変えてみたらどうかな? 親しくなっても、呼び方を変える機会はあまりないし」
「「ナイス副会長!」」
「名前呼びに……?」
別のところを片付けていた矢吹先輩にそう言われて、キョトンとする。
言われてみれば、名前で呼ぶことに抵抗がある相手でもないし……と、慌てふためいている逢見くんを見た。
「確かにいい機会かも。そうしてもいいかな? 司くん」
「っ……! ぅ、うん……」