傷だらけの黒猫総長
一緒に備品の運搬を頼まれたわたし達は、2人に分かれて、せっせと出張お片付けをしていた。
「わぁ、ピッタリだったね。お疲れ様」
「だね、苑香さんもお疲れ様。帰ろっか」
「うん」
ニコッと笑い合って、すっかり落ち着いた司くんと扉に向かう。
「色んな物があったね」とお話しながら部屋を出ようとすると、扉に手をかけた司くんが驚いた顔をした。
「あれ」
ガチャガチャ、ガチャ
「……? どうしたの?」
「なんか……ドアが開かなくて。おかしいな」
司くんは扉を押しながらドアノブを下げたり、色々と工夫して扉を開けようとしたのだけど、どれも効果はなく。
一向に開かない扉を前に、わたし達は強ばった表情で顔を見合わせた。