傷だらけの黒猫総長
「お、おお、お、お化け……っ!?」
「お、落ち着いて、苑香さん! 大丈夫、多分大丈夫だから!」
「で、でで、でも司くんっ、今カタンッて……!」
涙目で訴えると、司くんはちょっぴり頬を赤くしつつ、わたしを宥める。
「きっと収まりが悪くて、何か落ちただけだよ。僕が見てくるから」
「ま、待って! 1人にしないでっ!」
「えぇっ!?」
移動しようとする腕をガシッと掴むと、司くんは更に赤くなりながら一歩下がった。
この状況で1人なんて怖すぎるっ。
この腕は絶対に離さない!
「そ、苑香さん……それじゃあ、一緒に見に行く?」
「そっ、それもやだ……!」
「わ、分かった、じゃあ……えぇと……あ、そうだ、10秒待って何もなかったら見に行くっていうのは?」