傷だらけの黒猫総長



「ごめんね、タイミングが悪かったかな」


「えっ、あ、いえ! 違います! これはその……っ」


「そ、そうです、あの、物音がしてっ! お化けかもって、怖くて、その、無意識で! 悪気は無かったんです!」


「……そっか。とりあえず、2人共落ち着いてね」




開かずの扉が開いたことでお化け疑惑も吹き飛んで、バッと離れながら弁解すると、矢吹先輩は穏やかにそう言った。



後で聞いたお話だと、この部屋の扉は建付けが悪くて、外から工夫して開けないと閉じ込められることがあるらしく。


必ず外に1人いる必要がある面倒臭さから、生徒会室に荷物が溜まっていたのだけど、それを教え忘れて先輩が来てくれたみたいだ。




ちなみに、落ちたと思われる物音の原因は結局発見できず……。


恐怖で半泣きになったわたしを、生徒会室への帰り道、司くんと矢吹先輩が必死に慰めてくれた。



もう、あそこには近づきたくない……。



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