傷だらけの黒猫総長
「ごめんね、黒羽くん。何か傷つけるようなこと、言っちゃったかな……?」
グッと握られた黒羽くんの手に触れて、弱々しく尋ねる。
わたしの言葉で黒羽くんを傷つけてしまうなんて、涙が出るくらいに嫌だ。
「違う。……ごめん、なんか嫌だった」
黒羽くんはパッと顔を上げると、むしろ申し訳なさそうに、わたしの頬を優しく撫でてくれた。
「嫌だった……?」
「……苑香とあいつが、仲良くなってるのが。……こんなこと、思っちゃいけないよな」
目を伏せた黒羽くんに、ドキッとする。
嫉妬、してくれてるのかな……?
嬉しい、と思いかけてからハッとして、両手で黒羽くんの手を握り、「そんなことないよ」と詰め寄った。